2025年8月1日、国内製紙大手の王子製紙株式会社は、印刷用紙および情報用紙の価格改定を発表しました。対象となるのは中下級紙、上質紙、塗工紙、PPC用紙、フォーム用紙など幅広い分野で、2025年10月1日出荷分から現行価格の10%以上の値上げが実施されます。
https://www.ojipaper.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/08/kakaku.pdf
王子製紙HPより引用
今回の値上げは、単なるコスト増への対応にとどまらず、紙業界全体が直面している構造的な課題を反映していると言えるでしょう。以下では、その背景と今後の影響について整理します。
値上げの背景 ― 世界情勢と業界構造の変化
王子製紙によると、今回の値上げの要因は複合的です。第一に、原燃料価格の高止まり。世界的な不安定な情勢のなかでエネルギーコストが依然として高く推移しており、製紙産業のようにエネルギー多消費型の業界にとって大きな負担となっています。
第二に、物流コストや人件費の上昇。慢性的な人手不足により労務費が高騰し、物流問題も加わって輸送コストは増大。加えて、老朽化する生産設備の維持や修繕に必要な資材価格も上がっており、固定費の増加が続いています。
さらに構造的な問題として、紙需要の減少が挙げられます。デジタル化の進展により、世界的にグラフィック用紙の需要は縮小傾向にあります。王子製紙も生産体制の見直しを進めているものの、稼働率の低下によって固定費負担はむしろ増すという悪循環に陥っています。
実際に紙の問屋である浜田紙業でも、情報媒体の紙の需要は減り続けています。
環境対応という新たな投資負担
もうひとつ注目すべきは、環境対応コストの増加です。王子グループは「環境行動目標2040」を掲げ、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。持続可能な素材としての紙の安定供給を続けるには、環境投資が不可欠であり、これも価格改定の背景にあるとしています。
紙はプラスチック代替素材として注目される一方、その生産過程では依然として多くのエネルギーと資源を消費します。持続可能性と経済性の両立は、業界全体に突きつけられた課題と言えるでしょう。
今後の影響 ― 出版、印刷、流通への波及
今回の値上げは、出版社、印刷会社、さらには教育機関やオフィスなど、紙を利用する幅広い業界に影響を与える見込みです。特に印刷用紙の価格上昇は、書籍や雑誌、カタログ、チラシなどの制作コストに直結します。また、情報用紙の値上げは、オフィスや役所で日常的に使用されるコピー用紙や帳票類のコスト上昇につながります。
企業にとっては、印刷物の削減やデジタル移行の加速を検討せざるを得ない場面が増えるでしょう。中小企業や学校現場では、コスト増を吸収するのが難しいケースも多く、購買行動の変化が予想されます。
時期について
10月1日出荷分とありますが、実際に価格が末端のユーザーまで反映されるのは、先になる可能性が高いです。
というのも紙の流通は
①メーカー→②代理店→③地方の卸商→④印刷会社→⑤ユーザー→⑥ユーザー
上記のような流通のケースが多いです。ですので⑥のユーザーまで価格が浸透するのは先になります。
その他の紙の価格修正について

2025年はいち早く王子製紙が価格修正を発表しました。今後追随するメーカーが増えてくる可能性があります。
おわりに ― 業界の転換点
王子製紙の値上げは、単に一企業の判断ではなく、製紙業界が直面する構造的課題の象徴でもあります。エネルギーコストの上昇、需要の減少、環境対応投資という三重苦にどう向き合うか。これは国内外の製紙メーカー共通のテーマです。
紙は今後も重要な素材であり続けますが、その価値は「安価で大量に供給できるもの」から、「環境に配慮した持続可能な資材」へとシフトしつつあります。今回の価格改定は、その転換点を示す出来事といえるでしょう。

この記事を書いたのは石川県金沢市にある1950年6月創業75年紙問屋浜田紙業(株)の浜田浩史です。浜田紙業(株)はメーカーの正規代理店で王子ネピアやカミ商事などの製紙メーカーと直接取引をしておりティッシュやトイレットペーパー、印刷用紙、魚を包む紙(グリーンパーチ)、バリアラップなど特殊紙、日用消耗品の卸売りをしています。
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