創業76年の紙問屋がAIで業務改善してみた|金沢の中小企業のリアルな活用例

プログラマーがいない会社でも、AIで業務はここまで変わった

パソコン2画面です

こんにちは、浜田紙業の浜田です。結論から言うと、生成AI(私はClaudeを使っています)を日々の相談相手にしたことで、社内の面倒な作業がかなり減りました。

当社は金沢で創業76年になる紙の総合商社です。社員にエンジニアはいませんし、私自身もプログラミングは専門ではありません。それでも「この作業、毎回手でやるのはもったいないな」という仕事を、一つずつAIと一緒に片付けてきました。

今回は、地元の経営者の皆さんに向けて、実際にやったことと、やってみて分かった注意点を正直にまとめます。「AIって結局何に使えるの?」と感じている方のヒントになれば嬉しいです。

事例1:Amazonの出荷データを、ボタン一つで運送会社別に振り分け

一番効果が大きかったのが、ネットショップ「紙の宅配便」の出荷作業です。Amazonの注文データ(CSV)を、ヤマト運輸と佐川急便の送り状システムにそのまま取り込める形へ自動で整える仕組みを、Googleスプレッドシート(GAS)で作りました。

以前は、注文ごとに「この商品・この地域ならどちらの運送会社か」を判断し、住所や電話番号を手で直していました。今はデータを貼り付けて実行するだけで、次のことを自動でやってくれます。

  • 商品と配送先の地域から、ヤマトか佐川かを自動で振り分け(北陸宛ては佐川、など自社のルールどおり)
  • 送り状の文字数制限に合わせて、住所を自動で分割
  • Amazon特有の「電話番号の先頭の0が抜ける」問題を自動で補正
  • 送り状用の分かりやすい品名やサイズ、お届け予定日も自動で入力

週明けは2人がかりで11時前後までかかっていた出荷作業が、1人で9:30分で終える日も増えてきました。

ポイントは、コードを一から書いたのは私ではなく、AIだということです。私は「こういうルールで分けたい」「ここでエラーが出た」と日本語で伝え、出来上がったものを試す役でした。

出荷通知も1件1件行なっていたのですが、まとめて5クリックくらいで終えました。一番インパクトがありました!

事例2:社内データのバックアップと、アカウントの整理

「もし社内のデータが消えたら」は、中小企業にとって本当に怖い話です。当社では社内のNAS(共有ファイルサーバー)をクラウドストレージのDropboxに自動でバックアップする体制を整えました。

あわせて、社内アカウントを、会社ドメインのGoogle Workspaceへ移しました。誰のアカウントで何にログインしているのかが整理でき、人が入れ替わっても困らない形に近づきました。

こうした作業は、機器の設定画面の意味が分からず止まってしまいがちです。AIに画面の内容や手順を相談しながら進めることで、外部に頼まず自分たちで進められる範囲がぐっと広がりました。

事例3:ブログ・広告・採用の「考える仕事」の相棒に

AIは作業の自動化だけでなく、考える仕事の壁打ち相手としても役立っています。

業務 AIに手伝ってもらったこと
ブログ記事(紙の宅配便) 構成案と下書き作成、JIS規格など出典の確認、古い記事のリライト
Google広告 キーワード広告の見直し、社名で検索した人向けの広告の設定
採用 採用ページへのアクセス解析(GA4)の読み方、求職者に伝わる表現の検討
会社のSNS 止まっていたTikTokアカウントの復旧手順の確認

どれも、以前なら「詳しい人に聞かないと分からない」と後回しにしていた仕事です。夜や休日でも気兼ねなく質問できるので、思い立った時にすぐ動けるようになりました。

事例4:売上入力と棚卸が楽になり、「あの人しか分からない」がなくなった

毎日の売上データの入力も、AIと作った仕組みでかなり楽になりました。手作業の転記や確認が減り、入力ミスの心配も小さくなっています。

棚卸の作業も同じように楽になりました。数えた結果の集計や帳簿との照合に追われる時間が減り、棚卸の日の負担がずいぶん軽くなっています。

ネットの数百件に及ぶ売り上げ手入力→社内アプリによる一括入力に変更となりました!

それ以上に大きかったのは、属人化を防げたことです。以前は「この作業はあの人しか分からない」という状態があり、担当者が休むと仕事が止まりかねませんでした。手順が仕組みとして残ったことで、誰が担当しても同じように回せるようになりました。

その結果、社員はお客様への対応や提案など、人にしかできない仕事に時間を使えるようになっています。AIの一番の価値は、ここにあると感じています。

やってみて分かったコツと注意点

便利な反面、使い方を間違えると危ない面もあります。私が気をつけていることは次の4つです。

  1. 最初から完璧を求めない。 「まず動くもの」を作り、使いながら「ここを直したい」と少しずつ伝えると、うまくいきます。
  2. AIの答えをうのみにしない。 もっともらしく間違えることがあります。数字や規格、法律に関わることは、必ず公式の情報で確かめます。
  3. バックアップを取ってから触る。 仕組みを直す前に、元のデータやプログラムを必ず保存しておきます。戻れる安心感が大事です。
  4. 社外秘の扱いに注意する。 何を入力してよいか、社内でルールを決めておくことをおすすめします。
  5. 経営者が率先垂範でAIを活用する。なかなか普段の業務を改善することは難しいです。経営者が現場に入り「改善できるかどうか?」考えるのが大事だと考えます!

もう一つ大きかったのは、「何に困っているか」を言葉にする習慣がついたことです。AIに頼む前に業務を整理するだけで、ムダが見えてくることも多くありました。

まとめ:小さな「面倒」から始めてみませんか

AI活用というと大げさに聞こえますが、私がやってきたのは「毎回手でやっている面倒な作業」を一つずつ減らすことでした。専門知識がなくても、困りごとを日本語で伝えられれば十分に始められます。

そして減らした時間は、お客様と向き合うことや、社員一人ひとりの成長といった、人にしかできないことに使えます。作業を仕組みに任せることは、特定の人に仕事が偏る属人化を防ぐことにもつながりました。

当社が大切にしている「当たり前のことをコツコツ継続」は、AIを使うときにもそのまま当てはまると感じています。一気に変えるのではなく、小さく試して、少しずつ育てていく。その積み重ねで、気づけば業務がかなり軽くなっていました。

 

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