「古紙の価格が上がっていると聞くけれど、再生紙のトイレットペーパーにも影響するの?」「施設や会社で使う業務用の仕入れはどうすればいい?」——そんな疑問に、再生紙トイレットペーパーを扱う紙の専門問屋・浜田紙業がお答えします。
この記事では、印刷用紙などの新品の紙の値上げ情報ではなく、トイレットペーパーの「原料」である古紙の需給と相場のしくみに絞って解説します。メーカーが発表した印刷用紙などの値上げ情報は、別記事「【最新】紙値上げ一覧」にまとめています。

この記事でわかること
- 古紙価格が上がるしくみと、2026年の主な要因
- 再生紙トイレットペーパーが「どの古紙」からつくられているか
- トイレットペーパーの原料になる古紙が足りなくなりやすい理由
- 家庭紙メーカーの値上げ動向と、今後の見通し
- 業務用トイレットペーパーを調達する施設・企業が取れる対策
なぜ今「古紙価格」が上昇しているのか?主な高騰要因を解説
古紙は「紙の主原料」
日本の紙・板紙づくりでは、原料の約3分の2が古紙です。古紙再生促進センターの資料によると、2025年の紙・板紙生産に使われた原料のうち、古紙は66.7%を占めています。2025年の国内の紙・板紙消費量は約2,000万トン、そのうち古紙として回収されたのは約1,620万トンでした。(出典:公益財団法人古紙再生促進センター 講演資料「古紙のリサイクルについて」(吹田市掲載、2026年7月))
古紙は、需要と供給のバランスで値段が動く「資源」です。主な要因を順に見ていきます。
要因① 新聞や印刷物の減少で「集まる古紙」が減っている
環境省の資料によると、2011年から2021年の10年間で、新聞用紙の生産量は約321万トンから約198万トンへ38.4%減り、印刷用紙も約735万トンから約515万トンへ29.9%減りました。(出典:環境省「印刷用紙に係る古紙の需給動向」2022年10月)
使われる紙が減れば、回収される古紙も減ります。なかでも、印刷用紙やコピー用紙からなる白い古紙の減少は、トイレットペーパーづくりに直接かかわります(くわしくは次の章で説明します)。
要因② 段ボールの需要は底堅い
一方で、段ボール原紙の生産量は同じ10年間で約881万トンから約1,013万トンへ15.0%増え、古紙の消費量に占める段ボール古紙の割合も47.5%から57.9%へ高まりました。(出典:環境省「印刷用紙に係る古紙の需給動向」)
通販や物流を支える段ボールは、古紙の最大の使い道です。脱プラスチックの流れで、プラスチック包材から紙の包材へ切り替える動きがあることも、古紙の需要を支えています。
要因③ 輸出相場と為替
日本の古紙の一部は海外へ輸出されています。輸出向けの値段が上がると、国内の製紙会社も同じ水準で買わないと古紙が海外へ流れてしまうため、国内相場もつられて上がりやすくなります。古紙回収量に占める輸出の割合は、2011年の20.6%から2021年には12.8%へ下がっています。環境省は、中国の輸入禁止措置が影響したとしています。(出典:環境省「印刷用紙に係る古紙の需給動向」)
為替も相場を左右します。日本銀行の2026年8月の速報では、輸出物価の前年比が円ベースで+17.9%と、契約通貨ベースの+11.1%を上回っており、前年より円安の水準にあることがうかがえます。円安は、海外の買い手から見て日本の古紙を割安にし、輸出に買いが入りやすくなる方向に働きます。(出典:日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」)
要因④ 中東情勢による原燃料高
2026年2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を始め、3月にはホルムズ海峡の通航が困難になりました。原油価格は3月末に1バレル100ドルを超え、4月上旬にピークをつけています。6月17日に米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名したあと、原油価格は攻撃前の水準に戻りつつあります。(出典:内閣府「世界経済の潮流」2026年 第1章)
トイレットペーパーづくりでは、古紙をほぐしてインクや異物を取り除き、乾燥させる工程で多くの熱と電気を使います。日本銀行の2026年8月の速報でも、輸入物価の「石油・石炭・天然ガス」は円ベースで前年比+42.2%と高い水準です。(出典:日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」)原燃料高は、古紙そのものの値段とは別に、古紙からトイレットペーパーをつくるコストを押し上げます。
実際に岐阜県の河村製紙さんに工場見学に行った際に、ボイラーなど燃料を沢山使用していることが分かりました。

再生紙トイレットペーパーは「どの古紙」からできている?
原料は主に「白い古紙」
再生紙トイレットペーパーの原料には、主に印刷用紙などの、比較的品質の高い白い古紙が使われています。静岡県工業技術研究所の資料では、白さを求めるお客様の要望に応えるため、再生紙トイレットペーパーの原料古紙は品質も価格も比較的高い印刷用紙などだと説明されています。(出典:静岡県工業技術研究所「段ボール古紙を使用した『茶色いトイレットペーパー』の開発」令和3〜4年度)
環境省の資料でも、印刷用紙の原料となる「模造・色上古紙」(コピー用紙や上質な印刷物などの白い古紙)のうち、トイレットペーパーなどの衛生用紙に使われる割合は、2011年の55.1%から2021年には73.6%に高まっています。(出典:環境省「印刷用紙に係る古紙の需給動向」)白い古紙は、いまや主にトイレットペーパーやティッシュペーパーの原料として使われているのです。

河村製紙さんに工場見学に行った際の写真です。山積みの古紙が再生紙トイレットペーパーに変わります。
再生紙トイレットペーパーは国内の6割超
同じ静岡県工業技術研究所の資料によると、再生紙トイレットペーパーはトイレットペーパー全体の6割を超えています。また、静岡県内の30以上の工場で、再生紙トイレットペーパーの国内シェアの5割以上が生産されています。(出典:静岡県工業技術研究所「段ボール古紙を使用した『茶色いトイレットペーパー』の開発」)
「一度使ったら再生できないトイレットペーパーこそ、古紙からつくるのが望ましい」という考え方も広がっています。
原料の白い古紙は「集まりにくくなっている」
ここに、再生紙トイレットペーパーならではの悩みがあります。要因①で見たとおり、印刷用紙は年々減っています。静岡県工業技術研究所の資料でも、電子書籍の普及などで印刷用紙が減る一方、トイレットペーパーの生産量はゆるやかに増えており、原料の確保が難しくなっていると指摘されています。印刷用紙の古紙は、価格が不安定な面もあるとしています。(出典:静岡県工業技術研究所「段ボール古紙を使用した『茶色いトイレットペーパー』の開発」)
つまり再生紙トイレットペーパーは、「古紙全体の相場」に加えて、「白い古紙がどれだけ集まるか」に大きく左右される商品です。
実際に浜田紙業もティッシュやトイレットペーパーなどの家庭紙以外に印刷用紙の販売もしていますが、年々縮小傾向です。ペーパーレスの影響を実感しています。
段ボール古紙を使う「茶色いトイレットペーパー」の研究も
原料不足への対策として、比較的安く量も多い段ボール古紙からトイレットペーパーをつくる研究も進んでいます。静岡県工業技術研究所の研究では、段ボール古紙を使っても、ほぐれやすさや破れにくさといった品質に問題はなかった一方、白さや色の面では商品価値が下がり、古紙処理で出るゴミの量は通常の原料の約10倍に増えたと報告されています。(出典:静岡県工業技術研究所「段ボール古紙を使用した『茶色いトイレットペーパー』の開発」)
白さよりも環境への配慮を重視する使い方なら、こうした商品が選択肢になる可能性があります。
段ボール古紙・新聞・白い古紙|品目ごとの相場動向と特徴
古紙は品目によって使い道も値動きも違います。トイレットペーパーとの関係で整理すると、次のとおりです。
| 品目 | 主な再生先 | トイレットペーパーとの関係・値動きの特徴 |
|---|---|---|
| 白い古紙(模造・色上古紙、上白など) | トイレットペーパー、ティッシュペーパー、印刷・情報用紙 | 再生紙トイレットペーパーの主原料。印刷用紙の減少で発生量が細っている |
| 新聞古紙 | 新聞用紙、印刷・情報用紙など | 新聞の発行減で発生量が大きく減っている |
| 段ボール古紙 | 段ボール原紙など | 古紙の最大の使い道。トイレットペーパー原料としての利用は研究段階が中心 |
各品目の直近の具体的な取引価格(1kgあたりの円単価)は、地域・数量・品質によって大きく変わります。
古紙高騰が再生紙トイレットペーパーの価格に及ぼす影響
家庭紙メーカーは2026年も値上げを発表
トイレットペーパーを含む家庭紙では、2026年にも大手メーカーが値上げを発表しています。
-
カミ商事株式会社(エルモア)
実施時期:2026年7月1日納品分より
改定幅:現行価格より15%以上アップ
カミ商事HPより引用 -
王子ネピア株式会社
実施時期:2026年7月21日出荷分より(大人用紙おむつは8月1日出荷分から)
改定幅:現行価格より20%以上アップ(大人用紙おむつは10%以上)
ネピアHPより引用 -
日本製紙クレシア株式会社
実施時期:2026年7月21日出荷分より順次
改定幅:現行価格より10〜30%アップ
クレシアHPより引用 -
大王製紙株式会社(エリエール)
実施時期:2026年8月1日納品分より
改定幅:現行価格より15%以上アップ
大王製紙HPより引用
中小製紙メーカーも7~9月にかけて価格修正を発表しています。
値上げの理由として、大王製紙は中東地域の情勢不安を背景にした原材料や資材の調達価格の上昇と、供給面の不透明感を挙げています。日本製紙クレシアは、原材料・燃料費の高止まり、人件費や物流費の高騰、原油供給の先行き不透明感による資材価格の上昇を挙げています。
どちらの発表も、古紙だけを名指しした値上げではありません。古紙の値上がりは、原燃料や物流費などと並ぶコスト要因の一つとして、トイレットペーパーの価格を押し上げる方向に働きます。
再生紙トイレットペーパーへの影響

再生紙トイレットペーパーのメーカーは、原料の白い古紙を買い、それをほぐしてインクなどを取り除き、紙にします。そのため、
- 原料の白い古紙の値上がり
- 古紙処理や乾燥に使う燃料・電気の値上がり
- トラック輸送などの物流費の値上がり
がそれぞれ製造コストに響きます。静岡県工業技術研究所の資料でも、古紙価格の変動はトイレットペーパー工場の収益に直接影響すると指摘されています。(出典:静岡県工業技術研究所「研究成果事例」2015年度)
実際に浜田紙業も再生紙トイレットペーパーを扱う全ての製紙メーカーから7~9月にかけて価格修正の案内がありました。
紙製品全体の価格も上昇基調
日本銀行の国内企業物価指数(2026年8月速報)では、「パルプ・紙・同製品」が134.7(2020年平均=100)、前年同月比で+6.4%となっています。(出典:日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」)紙製品全体が、前年より高い水準で推移しています。
今後の古紙価格はどうなる?紙問屋が考える見通しと調達対策
見通し:白い古紙は「下がりにくい」状態が続く
確かな予測はできませんが、相場を考える材料は次のとおりです。
上がりやすくする要因
- 印刷用紙・新聞の減少で、白い古紙などの発生量が細り続けていること
- トイレットペーパーの需要は大きく減らない一方、原料の取り合いが続くこと
- 円安が続けば、古紙の輸出に買いが入りやすいこと
落ち着かせる要因
- 円高に振れれば、輸出の勢いが弱まること
- 段ボール古紙など、白い古紙以外の原料を使う技術が広がること
浜田紙業では、再生紙トイレットペーパーの原料になる白い古紙は、大きく値下がりする材料が少なく、「下がりにくい状態が続く」と見ています。日本銀行の企業物価指数(次回は2026年10月13日公表)など、毎月の動きを追っておくと安心です。
業務用トイレットペーパーを調達する施設・企業が取れる5つの対策

1. 年間の使用量を把握し、まとめて発注する
年間でどれだけ使っているかを把握し、発注をまとめると、1ケースあたりの単価や配送コストを抑えやすくなります。値上げの案内は実施の前に出されることが多いため、仕入れ先と情報をこまめに交換しておきましょう。
2. 長さ・巻きの仕様を見直す
1ロールあたりの長さが長いタイプに替えると、交換の手間や保管スペースを減らせる場合があります。シングルかダブルかも含めて、用途に合った仕様かを見直す価値があります。
3. 品質の基準を確かめて選ぶ
トイレットペーパーにはJIS(日本産業規格)があり、長さや紙幅、坪量、破れにくさ、水へのほぐれやすさなどの基準が定められています。価格だけでなく、こうした品質を満たしているかも確認しましょう。

4. 白さにこだわりすぎない
原料の白い古紙が集まりにくくなっているなかで、白さを強く求めすぎないことも、安定した調達につながります。使う場所によっては、やや白さを抑えた再生紙トイレットペーパーも選択肢になります。
まとめ
- 古紙は紙・板紙の原料の約3分の2を占める資源で、新聞・印刷物の減少、段ボール需要、輸出と為替、原燃料高などで相場が動く
- 再生紙トイレットペーパーの主原料は印刷用紙などの白い古紙で、その約4分の3がトイレットペーパーなどの衛生用紙に使われている
- 印刷用紙の減少で白い古紙は集まりにくくなっており、再生紙トイレットペーパーは原料の確保が課題になっている
- 2026年も大手家庭紙メーカーが値上げを発表しており、古紙はそのコスト要因の一つ
- まとめ発注、仕様の見直し、品質基準の確認が、業務用の調達対策になる
浜田紙業では、業務用の再生紙トイレットペーパーをはじめ、紙・包装資材の選定やお見積もりのご相談を承っています。値上げが続くなかでの仕入れにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」2026年9月11日
- 環境省「印刷用紙に係る古紙の需給動向」2022年10月20日
- 公益財団法人古紙再生促進センター 講演資料「古紙のリサイクルについて」(吹田市掲載、2026年7月)
- 静岡県工業技術研究所「段ボール古紙を使用した『茶色いトイレットペーパー』の開発」(研究成果事例、令和3〜4年度)
- 静岡県工業技術研究所「研究成果事例」(2015年度、新聞古紙を使ったトイレットペーパー)
- 大王製紙「家庭用・業務用製品の価格改定について」2026年5月15日
- 日本製紙クレシア「製品の価格改定に関するお知らせ」2026年5月22日
- 内閣府「世界経済の潮流」2026年 第1章
- 厚生労働省「令和8年度 環境物品等の調達の推進を図るための方針」
- 国際農林水産業研究センター「トイレットペーパー(単価契約)仕様書」平成31年度
この記事を書いたのは石川県金沢市にある1950年6月創業75年紙問屋浜田紙業(株)の浜田浩史です。浜田紙業(株)はメーカーの正規代理店で王子ネピアやカミ商事などの製紙メーカーと直接取引をしておりティッシュやトイレットペーパー、印刷用紙、魚を包む紙(グリーンパーチ)、バリアラップなど特殊紙、日用消耗品の卸売りをしています。
紙問屋ならではの業界情報をいち早くお客様に届けていきます!紙の専門家として経験を活かし紙製品でお客様が困っていることを一緒に解決し信頼される企業を目指しています。どのような些細な困りごとでもお問い合わせください。真摯に向き合います。強みは全国の物流網を使った商品の大量発送です。全国に配送可能ですのでお気軽にお問い合わせください!
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